その眼光はより鋭く、グッと引き締まった肉体美によって、胸高ぶる頑強なロックのダイナミズムを脳天に打ち込んでくる。1stアルバム『NO USE-BY DATE』から約1年3カ月ぶり、グルーヴィー・クラスの全12曲入り2ndアルバム『PATRIOT』がここに完成した。今作はこれまでの彼らとは何かが違う。この腹にズシッと来る重みは何なのか。冷え切った皮膚の奥底で血が逆流するような激しさを抱えた、この内発的エネルギーの正体は何なのだろうか。 その前にバンドのプロフィールに触れておこう。茨城県に拠点を置く彼らは、中学校の同級生であるkame(Vo/G)、so-hey(B)、takatoshi(Dr)の3人で文化祭をきっかけに95年7月に結成された。98年にライヴハウス・デビューを果たし、デモ・テープを作るなど本腰を入れてバンド活動に力を注ぐようになる。彼らの未知なる実力は、ヤマハ主催の「ティーンズ・ミュージック・フェスティバル」に出演し、2000年、2001年と2年連続で地区優勝の座を勝ち取ることで証明された。それを契機に自主企画イベント、ツアー、デモCD-R制作など着々と活動の幅を広げていくことになる。ライヴを精力的にこなす日々が続く中、2004年5月に元180゜のmako(G)が新メンバーとして加入し、現4人体制が整い、同年11月にようやく5曲入りの1stミニ・アルバム『START OVER』を発表した。これがバンド結成9年目にしての初単独音源とはいえ、メンバーは当時20歳そこそこなのだから、まだまだ圧倒的に若かった。その初々しい表情は音源にもくっきり刻まれている。メインソングライターのkameは、GREEN DAYのビリー・ジョー(Vo/G)と奥田民生を尊敬しており、バンドとは別に弾き語りを行っていたりする。その歌心を生かしつつ、この1stミニでは彼らが好んで聴いてきた西海岸パンク・テイスト溢れる楽曲を瑞々しくも荒々しく封じ込めることに成功した。 それから約1年3カ月の期間を経て、全12曲入り1stアルバム『NO USE-BY DATE』を発表することになる。この作品を僕は「メロディック・パンクをロック的スケール感で鳴り響かせた大飛躍作」と書き記した。歌声、演奏力、楽曲クオリティが逞しく成長を遂げていたからだ。しかしながら、今作『PATRIOT』は、前作を踏み台にさらなる発展を見せている。まず、今回はアルバム・タイトルがインパクト大だ。『PATRIOT』とは"愛国者"、"米国陸軍の地対空ミサイル"の意がある。それを自身のアルバム名に冠した真意はわからないが、かつてなく切迫したムードが立ち込めていることはわかる。思えば、前作から世の中の矛盾を糾弾する辛辣な歌詞が目立ってきた。ロックやパンクの基本精神とも言えるアナーキズム、反骨心が顔を覗かせていた。だが今作では顔を覗かせるどころか、より具体的かつ直接的に真正面から牙を剥いている。例えば戦争反対を暗示する歌詞を用いた6曲目「Lifeユs a beach」は、もっとも攻撃的な勢いに満ちたショート・チューンだ。ただし、それは極端な例に過ぎず、彼らの根底にある感情はピュアすぎるほどの人間愛と呼べるものだ。その思いが過去最高値に膨れ上がり、今作の起爆剤となっている。 メンバー曰く「今回はアルバム全体で一つの映画を観ているようなイメージで作った。曲単位というよりも、よりアルバム単位を意識した」ということらしい。それを僕なりに解釈するならば、"アルバム1枚を通して伝えたいメッセージ性"が彼らの中で明白になってきたと言えるだろう。表面的な輝きよりも、腹の底でメラメラと燃え盛る情念を叩き付けた今作は、酸いも甘いも噛み分けた大人の成熟ぶりを感じさせる。これまでになく冷徹かつ硬質なリアリティーを帯びたサウンド、その隙間から溢れ出てくる血の通った温かいメロディ・ラインがなにより素晴らしい。今作は1曲1曲が鋭く、深く、弾丸のごとく突き刺さってくるような迫力がある。"PATRIOT"・・・それは今の彼らの心境を代弁する唯一の言葉なのだろう。 荒金良介/RYOSUKE ARAKANE
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アーティスト別表示
PATRIOT
- 1. No use-by date
- 2. Maze
- 3. Mr, American
- 4. Give, give and given
- 5. Mannequin Queen
- 6. Life's a beach
- 7. So do the Swiss
- 8. Going the extra mile
- 9. Time passed
- 10. In her shoes
- 11. Easy come, easy go
- 12. To be as it is